講談社「透かしてうっとり 光の折り紙」メイキング記録

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講談社から「透かしてうっとり 光の折り紙」を出版して、1年が経ちました。いろいろ落ち着き、やっと出版のことを書く気になれたので、メイキング記録を簡単に記しておきます。

「光の折り紙」って、どんな本?

まず、何も知らない方のために書籍「透かしてうっとり 光の折り紙」について、ざっくりと説明しますね。

講談社「透かしてうっとり 光の折り紙」は2022年9月に出版されました。四季で楽しめる全30作品が「折り図+動画」で解説されています。

掲載作品は私含め、「うっとりがみ透かし折り紙研究部」のメンバー10名の作家30作品↓

※うっとりがみ透かし折り紙研究部:ウェブでつながる大人のオンライン部活。

ね? キラキラ感満載の宝箱みたい〜 かわいいでしょう?

誕生石12ヶ月、日本らしい季節のシンボル、アイテム、お花などがバッチリ揃っていますよ。Amazonでは単行本と電子書籍でご用意があります。

うっとりがみにとっては、初の商業出版。これまで自費出版で5冊(Amazon販売)をリリースしてきましたので、「光の折り紙」は6冊目の出版です。

講談社「光の折り紙」はうっとりがみ透かし折り紙研究部のメンバーが大活躍。作家は10名ですが、出版プロジェクトに有志で飛び込んでくれた部員は総勢26名。

作図の正誤チェック、作品の名前つけ、ロケの同行などなど、表には見えない大量の地道な作業を多くのメンバーが手伝ってくれました。

そうそう、この書籍、メンバー同士、オンライン上で「文字と画像」だけのやりとりで作り上げちゃったんですよ。一度も顔を合わせた打ち合わせナシ。すごくないですか?透かし折り紙研究部メンバーのコミュ力が高すぎなんですよね (ドヤ顔)。

以上が書籍についてのざっくりした背景です。

出版までの道のりは1年3ヶ月

時間軸でお伝えすると、出版までの道のりはこんな感じでした。

♥ 2021年

6月:編集者より出版のお誘い
7月末:講談社で出版正式決定
8月初:研究部の出版プロジェクト開始
8月初〜12月末: 作品エントリー・選考・作図開始

♥ 2022年

1月〜5月中旬:初校
6月:二校
5月〜7月:ロケ・スタジオにて画像・動画撮影
7月:作図外のコラムなど本文執筆
8月:三校・動画校正・表紙決定・色校・念校・校了・製本開始
9月:PR準備・出版

書いてみるとサクっとおさまるものですねえ。この間、いろんなものが同時進行でカオスだったんですけどね。だって、今まで作った折り図に比べ、「倍の作品数」を「倍の期間」で仕上げたから。

途中、飛騨市美術館の展覧会や通常の仕事その他いろいろありましたが、まあ、商業出版ですから。チンタラやっている場合じゃない。ピーピー文句や弱音を吐いているヒマなどない。目的とゴールにコミットして、大局を見失わず、さっさと取捨選択、ひたすら黙って作業。その連続でした。

メンバーみんながいてくれたからですね。ひとりだったら、ブーブー文句言って放り出してたかもしれないな笑

出版プロジェクトで印象的だった思い出の記録

うっとりがみ透かし折り紙研究部の有志26名を巻き込んだ出版プロジェクトのできごと、みんなが経験したことを一部ですが記しておきます。商業出版なんて、そうそう機会があるわけじゃないから、ホントお祭りみたいだったなあ。

研究部員からの作品エントリー数は掲載枠の4.8倍!

撮影:講談社 作品:ガーネット by 中村香代

講談社の編集者さんより出版のお誘いがあったとき、「研究部のみんなの作品も掲載していいですか?」とすかさずお尋ねしました。だって、みんなでやった方が絶対おもしろいでしょ?

この提案に編集者さんはすぐOKくれました。出版が正式に決まった時点でメンバーから作品募集を開始。書籍はページ数(80ページ)とサイズが予め決められているため、応募作品は次の2つをクリアするよう課題を出しました。

① のりづけ・組立てを含め21工程以内におさめること

②パーツの組立てに分度器シートを必要としないこと(分度器にページを割く余裕がないから)

そんなハードルをものともせず、みんなの創作意欲は炸裂。次々と大量の作品がエントリーされ、そのスピードたるやビックリでした。

全30作品、1季節7〜8作品の枠しかないのです。それに対する応募数がすごかった。たとえば、春の作品8枠に対して、39作品のエントリーがあったんです。約4.8倍!

だから、書籍に掲載されている約5倍くらいの素敵な作品たちがあったのだと思ってくださいね。

ひとこと付け加えておくと、掲載作品は「映える」「簡単」「優秀」などの単純な理由で選んでいません。透かし折り紙を何も知らない読者が興味を持って折れるよう、書籍全体で「形状」「難易度」「枚数」「おもしろ感」「キラキラ感」などのバランスがとれるかどうかの観点を盛り込みました。作品ひとつずつというより、書籍全体で調和するかどうかという捉え方に近いです。

素晴らしい作品エントリーを見せてもらえて、本当に楽しかったです。メンバーそれぞれの成長が見られた作品応募でした。みんなの様子を見ていて思ったのは、やはり数を出すことが質を上げる近道ですね。春の作品応募から始め、夏→秋→冬とエントリーが進むにつれ、応募作品はどんどん洗練されていきました。

ちなみに、30枠しかないから、できるだけ私以外の作品を載せたいな〜と思って「私の作品載せないとダメですか?」と編集者さんに聞いたんですよね。そしたら、「著者ですからね」と言われ(そりゃそうよね)。そんじゃ、1季節1作品ずつにしとこうと思いまして。というわけで私の作品は4つです。

写真と動画の撮影はさすがの講談社

撮影:講談社 作品:ダリア by @sywny

「光の折り紙」は美しい作例の写真や動画がいっぱい。眺めているだけでもニヤニヤ楽しめちゃう作りになっています。

その代わり、なかなかの撮影時間を要しましたよー

・自宅での作例写真撮影 1回

・ローズガーデンでの作例・プロフィール写真 ロケ撮影 1回 (ガーデンカフェ・グリーンローズさま)

・講談社スタジオ(文京区)での作品・資材・コラム用写真撮影、折り方動画撮影 3回

たぶん、これだけで移動も含め50時間は軽く費やしているはずです。原稿執筆と同時進行なのでなかなかのハードスケジュールだったですね。だから、あなたには写真も動画も隅々まで楽しんでほしい!

自宅での撮影

お天気は曇。青空は叶いませんでしたが、優しい光の中で作例写真の撮影をしました。巻頭ページを中心に使われています。「貼る」「つるす」「フレームなどにはめ込む」の要素を伝えるための写真です。

撮影:講談社

ロケ撮影

埼玉県のガーデンカフェ、グリーンローズさまをお借りしてのロケ撮影。直前まで雷と大雨で一体どうなることやらと思いましたが、ピカピカの晴れのお天気に。

グリーンローズさんは園芸の書籍を何冊も出版されている有名なガーデンです。お庭にバラが咲き乱れる時期を狙って撮影。おかげで折り紙にたくさんの華やかさを添えることができました。ありがとうございます。

ロケに同行してくれた研究部のjunkonekoさんにも大感謝。飾り付けから片付けまで手際よくサポートしてくださり、本当に助かりました!

撮影:講談社

ちなみに、私、涼しげに写っていますが、この日はめちゃくちゃ暑くて汗だくでした(笑)

講談社スタジオ撮影

文京区にある講談社さんのスタジオで写真・動画撮影を行うこと3回。朝から夜までスタジオに缶詰でした。3回の撮影にもたくさんの研究部員メンバーがヘルプに来てくれました。撮影の支度・片付け・折り見本の作成・折り方ミスのトラブル解決などのサポートをしてもらい、心強かったです。

撮影の様子↓

特に30作品の動画撮影はかなり大変でした。というのも、折り方の練習をする時間がなかったからです。なんせ原稿作図で手一杯。作品の折り方を覚えていない状態で撮影に突入でした。

しかも動画はなんと一発撮り。途中で折り方を間違えたら、カットしてつなぐということをしません(明らかに画面が途切れてしまうため)。間違えるだけでなく、手が迷ったりしてもNG。

自分の作品だけならともかく、他9名作家さんの全30作品をスムーズに折りながらノーカットで撮影するのは、さすがにキツい(笑)

それと、撮影の現場もなかなかタフでした。動画撮影は真上や斜めから行います。なので私の頭が画面に入らないようにしないといけない。そのために、ものすごい不自然な姿勢で斜めって座るんですよね。そうすると折り紙の全体が見えないんです。

普通、折り紙折るときは折り紙の真上に自分の顔があって、好きな角度で覗き込んで確かめながら角を合わせて折るじゃないですか。それができない。

角が合っているのか目視できない位置に私の頭があって、「どうか角が合ってますように」と祈りながら、勘で折るしかなかった(笑)

そして、朝から晩まで真っ白な眩しい照明の中にいるんです。めちゃくちゃ消耗しました。編集者さんが用意してくれた大量の糖分(オヤツ)を食べまくって、根性で乗り切った感じ。

カメラマンさんにはホント辛抱強く動画お付き合いいただき、ありがとうございました。

私が「もう一回取り直します」といえば、「はい」と黙ってセッティングし直し。根つめて撮影し続けようとすると「休憩しましょうか〜」とさりげなく声をかけてくれたり。「もうやだ!今日は終わり!」と私が叫べば、無言でお片付けしてくれまして。

忍耐のお仕事だなあと思いました。心より感謝申し上げます。

また、動画撮影中に折り図の作成ミスが見つかったり、貼り合わせの位置が謎の作品がでてきたり、いろんなアクシデントも置きました。が、現場で研究部のみんなが解決に力を貸してくれたおかげで無事に撮影が済みました。

撮影に必要な道具を揃えてくれたり、オヤツを用意してくれたり、食べたものをかたづけてくれたり。ホントお母さんみたいだったなー

ありがとう♡

動画撮影はホントに大変で、みんなの協力があってやりきりることができました。だから、「折り図を見てもわかんない」と思ったら、迷わず動画を観てほしいです。めっちゃがんばって作ったので、ぜひ活用をお願いね!

(動画がついてることに気づいていない方が結構いるんです!)

メンバーみんなの協力

今までの折り図の倍の作品数を倍のスピードで仕上げなくてはならず、メンバーみんなの協力なくしてこのスケジュールで出版はできなかったはずです。本当に助かりました。

折り方の本ですから、何よりも「作図が正しい」が当たり前に完璧でなくてはいけません。このチェック作業はかなり大変。作品を生み出した作家本人は自分でわかりすぎているだけに、作図にミスがあっても気づかないことがあるのです。取りまとめしている私も見落としてしまったり。

矢印の終点・紙の表裏・のりづけの微妙な位置指定・折ったときの透け感の表現。普通の折り紙とちょっと違う、透かし折り紙ならではの注意ポイントも結構ありますからね。

だから、冷静な視点で「あってるの?」をチェックする必要があって。作者じゃない人たちが折ってくれることで気づけたミスがたくさんありました。また、作図は合っているのだけど、わかりづらいという意見をもらったら、表現の変更をしてみたり。

これは、@aosoraorigaiさんが全作品のパーツ折りチェックをしてくれたときの画像↓

こういうヘルプがたくさんのメンバーからあったことは、本当にありがたかったです。

こうして、作図は完璧に仕上げることができたのですよ。図の表現に関してはスペースの都合上で改善を断念した箇所もありましたが、それは動画に委ねました。

商業出版してみて、よかったこと

「出会いと成長」これに限りますね。自費で作った折り図はもともと内輪のメルマガ読者さんにお届けするものでした。「すでにもう、透かし折り紙を知っていて、折れる人」です。

商業出版となると、「透かし折り紙? なにそれ?」という方々に出会いにいくことができます。より広く、より多くの人とつながれる。その威力が商業出版なのだなあと改めて思いました。

実際、本屋で「透かし折り紙、なにそれ?」状態の方が書籍を購入し、ビビっと来た勢いですぐに透かし折り紙研究部に入ってくれた方々もいます。今ではすっかりみんなと仲間。ご自分だけでなくご家族やご友人のために折ることが喜びになっているようで、とても嬉しいです。

また、出版に協力してくれた透かし折り紙研究部のメンバーも私も、今までにない挑戦を体験することができました。作品を生み出す創造力だけでなく、チームで取り組んでいく団結力、自分との向き合いなど大きな学びと成長がありました。みんな、家事や育児、仕事に介護、勉強、その他で忙しい中での挑戦でした。達成感ハンパない。それになにより、楽しかった!

商業出版は多くの人の手元に届けるため、実に細かいところまで配慮がされています。美しい書籍に仕上げるため、編集者さん、カメラマンさん、デザイナーさん、その他多くのプロフェッショナルの方々の底力を間近で拝見できたのは、私にとって収穫の多い学びとなりました。

書籍づくりに関わってくださったみなさま、読者さまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

講談社「透かしてうっとり 光の折り紙」は書店かAmazonでゲット

長ーいメイキング記録を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「光の折り紙」まだ買ってないな〜という方、課金大歓迎!

書店でご注文いただくか、Amazonでゲットしてくださいね。Amazonでは書籍と電子版両方あります。ご注文の際はお間違えのないよう、よく画面をご確認の上お願いします。

たくさん折って、光に透かしてね。うっとり時間があなたに訪れますように!

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中村 香代

うっとりがみ製作総指揮。透かし折り紙を通して、無我夢中になれる楽しさと、美しいものにうっとりできる幸せをお届けしています。

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透ける折り紙の部活&講座「うっとりがみ」のページです。オンライン部活「うっとりがみPARTY(透かし折り紙研究部)」の活動や部員さんたちの作品、講座の様子を紹介しています。

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